本の紹介!増山幹高著『議会制度と日本政治―議事運営の計量政治学』

お世話になっております。Webコンサルタントの秦智紀(はたとものり)です。

本日も以前、運営していたブログで紹介したことのある本です。

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なぜ、この本の紹介を書くことになったのか

私が政治活動をしていた時にお世話になっていた方から、ある日この本を渡されて簡単で良いので要約などを書いてくれないかと言われたのがキッカケです。

当該書籍のテーマの背景

本書は、国会研究の焦点「立法ゲーム」のルールである議会制度およびそれに規定される戦略的な立法活動に合わせ直すことによって、2つの相互に関連する研究課題に取り組んでいくものです。第一の課題は、議事運営の制度的権限という観点から、国会における「立法過程」を体系的に理解するということにあります。第二の課題は、国会の制度的構造を再解釈することにあります。
(要約:国会は法律を通すための「ゲーム」と考えて、どのように法律が通るのか、改めて考え直してみましょうというのが、この本のテーマです。)

書籍が行おうとする分析の視覚、ないし手法

第1章の第一の課題で挙げた分析手法としては、特に立法過程における時間の影響を個々の法案レベルにおいて検証することにあるため、こうした目的から本書は、時間的事象を統計的に処理する手法として開発・応用の進められてきている「生存分析」(あるいはイベント・ヒストリー分析、生存時間分析)を立法過程の分析に導入し、立法過程をある法案が成立するまでにどれくらい時間がかかるのかという問題として捉え、立法過程「時間」がいかなる要因によって規定されているのかということを検証していきます。
次に第二の課題で挙げた分析手法として、従来の研究において、主として野党が影響力を行使し、立法過程の時間的制約となる国会の制度構造は審議の引き延ばしや妨害を通じて野党が法案の生殺与奪権を握り、また政策的譲歩を勝ち取ることを可能にするものとみなされているものでした。しかし、この捉え方は実際には「見える形」において論争的な法案審議が相対的に稀であることから、結局は野党には影響力があまりないという見解を導き出していることになります。このことは国会に対する機能不全という否定的な評価を一層強化させます。本書においては、国会に関する制度的、手続き的規定を再検討し、国会を与党に影響力を行使させる政治制度として捉え直していくものです。
(要約:法律がどのように通るのかを改めて考え直してみるということで、どうやって考えるのかという方法です。一つ目の見直しは法律が通るプロセスでしたが、その分析方法として確率や統計を使うというものです。二つ目の見直しは今までの考え方自体そのものを改めてみましょうというものです。)

主な結論ないし主張

従来の国会研究を「観察主義」と呼ぶ3つの観点(官僚支配、与野党協調、代理委任)に整理し、各々の国会や立法過程に関する主張を再検証した。これらの分析からは、戦後を通じて政府立法が支配的であることが確認され、また内閣提出法案の成立率も修正率も比較的に安定していることがわかる。しかし、こうした変化のないことをもって、官僚支配か代理委任のいずれが妥当するのかということを識別することはできない。むしろ立法の動向として、内閣提出法案の実数における減少傾向があり、与野党協調によって国会が政府立法にとって越えがたい障害となってきていると解釈することも可能でもあるが、社会情勢や制度慣行の相違を考慮すれば、そうした内閣提出法案における減少傾向もある程度割り引いて考える必要がある。また、政省令の実数には、長期的に一貫した傾向はみられず、官僚支配や与野党協調の想定するような立法との補完関係は存在せず、むしろ代理委任論の主張を否定するような政策転換期における増加傾向がみられる。
※代理委任論・・・政治家が官僚に対して優位であるという意味。
(要約:与野党協調によって法律が通ることが分析の結果わかってきたというものです。法案の修正率も比較的安定しているということを考えると、最近の国会の状況としては政府立法や内閣提出法案を与野党で修正案を出す傾向にあるのではないでしょうか。強行採決だと騒いでみたり、対決姿勢ではなくて、対案を出して国家国民のために与野党協調で動いて欲しいものです。)

批判すべき点、今後の課題

第3章でも記載しました通り、「観察主義」の3つの観点を計量分析して、過去から現在に向かって時間軸上に見た時にどのような傾向にあるのか、その傾向が分かれば今後の課題となります。結論部分の中に「内閣提出法案が減少傾向与野党協調によって国会が政府立法にとって越えがたい障害となってきている」という一文があります。これは国会研究についての著書ですが、これは国会の立法過程の傾向ですが、地方議会にどう応用できるかというテーマでもあるように思いました。
(要約:この著書自体が2003年に発行されたものですので、その後の国政の状況を鑑みた分析が気になるところです。特に第三極と言われた旧みんなの党、日本維新の会や地方自治体への応用などは非常に気になるところではあります。)

総括、ひとことで言えばどんな書物か

国会研究を「立法ゲーム」と「計量分析」の2つの手法を用いていることに面白さを感じました。法案が成立するまでの各プレイヤーの行動という観点から見た時にゲーム理論的な発想は必要ですし、法案を「観察する」もしくは「感覚で議論する」では物事の本質は見えてこないため、「計量分析」をすることで本質のあぶり出しをすることは良いことだと思います。本書の本質は、過去から現在までの時間軸上の中で、国会がどう変化しているのか、そしてこれからの国会をどうすべきかという研究になります。
(要約:政治学というと科学的根拠の乏しいものが多いのですが、国会の観察と数字の分析で色々とあぶり出すのやり方は面白いです。)

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