新型コロナウイルス感染症緊急経済対策について

お世話になっております。 Webコンサルタントの秦智紀(はたとものり)です。

本日は、4月7日に内閣府が発表をした新型コロナウイルス感染症緊急経済対策(以下、本ブログにおいて「緊急経済対策」という)について簡単に書いてみたいと思います。

また、私自身は大学・大学院と経済学を中心に勉強および研究をしていたものですから、個人的にも政府の経済政策には強い関心があります。

緊急経済対策の考え方や取り組む施策、財政支出の内訳

まずは、今回の緊急経済対策について考え方、取り組む施策、財政支出の内訳の3項目に分けて、概要を把握して頂ければ問題はないかと思われます。少しだけ長くなりますが、必要最小限の情報のみ記載しておきました。

経済対策の考え方

【2つのフェーズ】
第一フェーズは、感染症拡大の収束に目途がつくまでの間の「緊急支援フェーズ
→事態の早期収束に強力に取り組むとともに、その後の力強い回復の基盤を築くためにも、雇用と事業と生活を守り抜く段階

第二フェーズは、収束後の反転攻勢に向けた需要喚起と社会変革の推進の「V字回復フェーズ
→早期のV字回復を目指し、観光・運輸、飲食、イベント等大幅に落ち込んだ消費の喚起と、デジタル化・リモート化など未来を先取りした投資の喚起の両面から反転攻勢策を講ずる段階

【5本の柱】
①感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
②雇用の維持と事業の継続
③次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復
④強靱な経済構造の構築
⑤今後への備え

上記の2つのフェーズ(段階)と5本の柱を基に経済対策を策定したようです。さらに詳細については、次の「取り組む施策」に記載されております。少し長くなりますが、「5本の柱」のそれぞれに施策が記載されておりますので一つずつ記載します。

取り組む施策

①感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
・マスク・消毒液等の確保
・検査体制の強化と感染の早期発見
・医療提供体制の強化
・治療薬・ワクチンの開発加速
・帰国者等の受入れ体制の強化
・情報発信の充実
・感染国等への緊急支援に対する拠出等の国際協力
・学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備
②雇用の維持と事業の継続
・雇用の維持
・資金繰り対策
・事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援
・生活に困っている世帯や個人への支援
・税制措置
③次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復
・観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援
・地域経済の活性化
④強靱な経済構造の構築
・サプライチェーン改革
・海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援
・リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速
・公共投資の早期執行等
⑤今後への備え
・新型コロナウイルス感染症対策予備費(仮称)を創設

緊急経済対策の施策については、このようになっております。経済対策の考え方で「2つのフェーズ」があると記載しましたが、「①感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」と「②雇用の維持と事業の継続」は第一フェーズの「緊急支援フェーズ」にあたります。そして、「③次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」、「④強靱な経済構造の構築」、「⑤今後への備え」が第二フェーズの「V字回復フェーズ」にあたります。

財政支出の内訳

上記の画像のように財政支出と事業規模がザックリと記載されてますね。上田令子都議の政務調査スタッフを数年間していたため、東京都の予算書などは毎年目を通していたのですが、事業内容もザックリだし、金額もザックリ、詳細については事務事業の数が多いのでお答えできないと都庁官僚はよく逃げていたのを覚えています。

まとめ

いかにも役人が考えた文章だなというのが第一印象です。文章作成能力は素晴らしいものはありますが、経済対策の考え方の「2つのフェーズ」について問題があります。経済政策において、短期と長期と時間軸上で分けて考えることは特に違和感はありませんし、私も学生時代の経済政策論でもそのように習ってきましたし、経済学を学んできた経験からも問題はないと思っています。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の基本戦略において社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大防止の効果を最大限にすると提言されてます。これは言い換えれば、自粛と経済活動はトレードオフの関係にあるということが理解できると思います。つまり、感染拡大防止に舵を切れば、経済活動にストップがかかる。逆に感染拡大防止を緩めれば、経済活動はエンジンを吹かす。というシーソーゲームのような関係が生じているわけです。

しかしこのようなことは、最初から分かっていたことなのに政府は、緊急事態宣言を受けて同時に新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の発表となりました。これは、私の目からすれば、緊急事態宣言で1ヶ月間は思い切り自粛してくださいと言っているようなもので、その上で緊急経済対策で経済にもエンジンがかかるか試してみますよ!というごまかしにしか見えないわけです。

そして、今回の緊急経済対策の事業規模は約108兆円で世界最大級であると声高に安倍首相は主張されていますが、緊急経済対策の中身の詳細な考察の前に経済学の基礎の基礎であるトレードオフの関係を前提に置けば、緊急事態宣言が発令された時点で緊急経済対策の実質的な効果はほぼ期待できる代物ではないと考えるものです。

実際のところ、このブログ記事を投稿するために内閣府が出した資料49ページを読みましたが、具体的な記述がほとんどありません。財政支出の金額もザックリとしか書いていませんし、霞が関官僚が頑張って資料作成をしたという印象でしかないわけです。

また、なぜ私が自粛から撤退して、経済活動を正常に戻すことが一番であると主張しているかと言えば、それは単純な話しでして自粛と経済活動のバランスを取るとは、実際どのようにするのかは誰にも分かりませんし、誰にもできないからです。仮に「自粛5:経済活動5」ならば、半々くらいですし、「自粛7:経済活動3」ならば、かなり自粛を若干強めるイメージです。しかし、実際の経済活動を0から10までの段階があったとして、何段階にコントロールするかなんて、果たして出来るのでしょうか?経済は有機体の生き物と同じです。だからこそ、自粛、自粛と言い過ぎれば言い過ぎるほど、生き物としての経済の呼吸は止まってしまい、心肺蘇生をするのは難しく、仮に目を覚ましても人間同様に後遺障害が残ってしまう可能性だってあるわけです。

そもそもコントロールできない経済活動を自粛によって、間接的に息の根を止めようとしていることに非常に強い危機感を感じます。

参考資料

1. 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策〜国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ〜(内閣府より)
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf

2. 緊急経済対策は過去最大108.2兆円、財政支出39.5兆円-新型肺炎(Bloombergより)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-07/Q8CMC1T1UM1401

3.トレードオフとは何か?
https://www.weblio.jp/content/%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%AA%E3%83%95

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